サンクルを続けるモチベーションの1つに好きな作品で戦えるというモノがある。

リヴァイアスは確か自分が中学生ぐらいの頃にやっていたアニメで
その頃はエヴァンゲリオンの大ヒットとか富野監督が久しぶりにガンダムに復帰したターンエーとかの影に隠れて、あまり話題になったアニメではなかったけれど
好きな人は多分ドップリハマったであろう名作。

当時の俺は「文化部だとバカにされそうだし、家ではゲームばっかりやっているから体の健康の為に入るか。」という決してストイックではない理由で運動部に所属していたのだが、まぁそれ故に
リヴァイアスの日だけは部活をサボって視聴していた。

内容は、とある事故が原因で、大人が一人もいない中、子供達だけで巨大な宇宙船にのって宇宙をさ迷い、故郷の地球を目指す漂流モノ。

15少年漂流期をモチーフにした銀河漂流バイファムとかと大筋は似ているんだけど
バイファムは「大人達がいなくても子供達は健気に頑張っています」的な作風で、13人のキャラそれぞれの個人の想いの触れあいを中心に描かれているのに対し、リヴァイアスは何百人と人がいて「みんな自分勝手でワガママな子供なので、生き延びる為に自分達で新たな規律を作って人を統制していく社会作り」がドラマの本筋。

んで、登場キャラが非常に多く、個人というより群衆として扱われ、
統治する者と群衆といった構図でストーリーが進んでいく。
大人対、子供の力の対立関係がない分
純粋な考え方と考え方のぶつかりあいが非常に面白い。
そしていわゆる群衆(子供達)は基本最初から最後まで
「少しでも安全な立場でいたい、人に支配されたくない」という考えに則って行動する。
これは現代なんかじゃ当然の権利とか欲求なんだけど。
こういった閉鎖空間で全員がそう思っているのなら
そりゃ争いや、いざこざが起こる。

最初はよかれと思って、皆が集まって協力して独自のルールやリーダーを決めて、まとめようとするんだけど、作中でも何度も国家転覆のような事が起こる。

まず作られるのは多数決を基本とした
既存の民主主義を模倣したような社会。
ここでは能力に関係なく少しでも歳上の人が年下の人をまとめる年功序列のシステム。
だがやがて、少数派の人間たちの鬱憤が爆発してクーデターがおこる。
そして次に出来たのは力による恐怖政治。
一見、恐怖政治と聞くと欲望にまみれた暴君が君臨するかと思うが、
実は恐怖を利用し、争いをなくした賢王だった。

だけど権力の格差が続くと、やはり腐敗や反抗がおこり、これも打ち倒される。

3つ目に出来たのはポイント制と呼ばれる、いわゆる貨幣社会みたいなもの。
働かざる者食うべからず、より働いた者や能力のある者が富める。今の日本みたいなシステムだけど
働けなかったり社会に貢献出来ない人は見捨てられていくし、やっぱりポイントを巡って略奪や争いが起こった。

んで物語の終盤に一人の善人でヒーロー的なキャラが強大な力を持った正義による統治を始める。
まぁ、簡単にいえば「悪い事をしたら天罰を与えるから良い子にしてね」っていう感じ。
この辺の押し付ける正義の狂気みたいのが凄えなぁと思ってたけど
親になった今、聞き分けのない子供を叱る時の気持ちとなんとなく似ているなぁと思ってみたり。

学生時代は飯食いながらとかで、ちゃんとしっかり見れなかったので
社会人になって一度ビデオレンタルして、通しで全部観たんだけど、それも10年くらい前の話。
それだけ経った今でもこうして自分の中で色褪せないのは主人公の相葉昂治という男がたまらなく好きだったからだと思う。
この主人公は憧れるようなヒーローでも、悲しい宿命を背負ったりも、じょじょに成長して強くなっていったりもしない。
何やってもうまくいかない事の方が多いし、情けないシーンも多々ある。
リヴァイアス内にも、人より秀でた英雄的なキャラは出てくるが、
それらと対照的に昂治は何の特別な能力もない徹底的な凡人として描かれている。リヴァイアスのコアみたいな存在であるネーヤと船内で唯一会話できた事とかあるが、
ストーリーのメイン所(艦内部の運営をしていくメンバー)の進行に一切絡んでこない。最初から最後まで、ただただ統治される群衆の中の一個人、本当にずっと普通。
でも実は、それこそが昂治の強さなんだと観てて痛感する。
常に恐怖と戦い、明日をも知れない極限状態の中で、皆が自分の保身の為に、何かにすがったり、壊れていったりするんだけど
昂治は周りがどんな環境になろうが流されずに”普通”の価値観をを保ちつづけていく。
例えば「困っている人がいたら助ける、助けられなくても助けようと試みる」とか
でも能力がないので口先だけのカッコ悪い奴とかボンクラだとか思われたりする訳だが、なぜか人からは好かれる(能力のある弟からはそこが憎まれている感じだが)

民から王、王から金、そして神が統治するリヴァイアスで
最後、神になった友達を止める為。
いや、皆の絶望を背負う為に神にならざるを得なかった友達を助ける為に、全てを敵に回しながら最後に残った”普通の良心”として、孤独な戦いを挑みにいく。

最終回は一応のハッピーエンドで結末をつけたって感じで、やっぱり物語のピークは最後の昂治とイクミの対峙シーンかな。
「お前の正論はもう沢山だ!その正論で誰かを救えたのか!?」
「だったら今すぐ皆を救え!」
とか逆シャアのアムロとシャアみたいだよね( ̄ー ̄)

ちなみに一番好きなセリフは
中盤くらいで昂治が船窓から宇宙の景色をみて落ち込んでいる時に、
どこからともなくネーヤが現れて「泣きたいの?」と聞いた時に
「わかったような事言うんだな」って昂治が苦笑いしながら言った後、しばらくして「そう、俺は笑いたい。笑いたいんだよ」ってセリフ。

まぁ、当時この作品で人間の弱さとか本当の強さみたいなモノを考えさせてもらった。今でも相葉昂治は俺の中ではヒーローだ。
最終回を迎えて環境が平和になると、何も光らないタイプの主人公だけど、最近見知った言葉で
「輝いて、されど光らず」とはこの男のような奴の事を言うんだろう。

コメント

nophoto
青のプロフェッサー
2017年5月15日19:53

お前バイファム観てえんやろ

とーしろー
2017年5月16日10:22

最初と最後だけ見たもーん

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